2013年3月19日火曜日

墨子「経・経説」を読んだ



「墨子」の現代語訳を主要な篇は墨子 (ちくま学芸文庫)で、経・経説は上記の東洋文庫版で読んだ。墨子の言動を記録した「なんとか篇」(尚賢篇とか非攻篇とか)はプロパガンダなのだろう、とても分かりやすい。これらの篇は墨子が儒教の教典をよく理解していることが分かって面白いし、基本的な出発点が儒家とそれほどかけ離れているわけでもないことが分かる。

一方、経・経説は、うーんさっぱり分かりません。訳者もよく分からないらしく、「本文に疑問がある」とか「意味が通らないがとりあえずこのように訳しておいた」とか書いてある。経と経説は上篇と下篇に分かれていて、上篇では経は定義集、経説はその解説を、下篇では経は命題集、経説はやはりその解説になっている。なんか論理哲学論考みたいなスタイルの書物なのだけど、「円」や「力」の定義と「仁義」の定義が同じテキストのなかでされていたりと、現代人の観点から見ると面白い。ちなみに「仁」は「愛」、「義」は「利」のことであるそうだ。

他にも「無知」を勧める道家の立場は矛盾している、なぜなら学ばないことを学ばせることだから、という至極最もな批判とか、「法」とか「為」の定義であるとか、色々面白い。経の定義によると、「為」とは「知に窮して欲に引かれる」ことである。此の定義に従うと「無為」はまあ当たり前の主張になりそう。

私は中国語原文は読めないけど、読み下し文くらいは読めるので経・経説の読み下し文で手に入りやすいものがあったら読んでみたい。例えばどんな漢字が使われているかでも色々情報があると思うので。

以上、老子についてのエントリが難しすぎて進まない逃避でした。